あくまでも私個人の意見ですが、ある程度の歌唱力を求めるのにボイストレーニングを受ける必要はありません。もちろん、あなたが歌手になりたいという場合は別です。
ですが、友人や知り合いと行くカラオケで人気者になりたい、合コンのカラオケで注目されたい、というのならカラオケを使った練習のみで十分です。
私は以前から3つに分けた練習法(3ステップ練習法と呼んでいます)を提唱していまして、この練習法は今まで10人以上の知り合いに教授し、成果を出してきました。
私自身、この3ステップ練習法を用いて歌が上手くなりましたし、誰とカラオケに行っても「上手い!」と言われるようになりました。今回はこの3ステップ練習法について、具体的な方法を織り交ぜながら説明していきます。
この方法があなたの歌唱力を向上させるきっかけになってくれれば幸いです。
カラオケでの歌の上手さは時間と練習の正しさで決まる
あなたがどれくらいの時間を歌の練習に割いているのかは分かりませんが、なかなか歌が上手くならなくて困っていませんか?一週間に2回くらい、一人カラオケに行くけど全然上達しない。練習時間が足りないのか?
そう考えているかもしれません。もちろん、練習時間が足りないという可能性もあります。ですが、歌唱力が向上しないのは練習時間が足りないのではなく、練習方法が間違っているからではないでしょうか?私は、カラオケでの歌の上手さは次のように決まると考えています。
練習にかけた時間と、練習法の正しさの両方が必要です。それの掛け算なので、どちらかが極端に低いと当然カラオケの歌の上手さも低くなります。
練習にかけた時間がとても大きく、練習法が全く合っていない場合は最悪で、どれだけ時間をかけても上達しません。長い時間をかけて正しい練習をすることで、歌唱力は上がっていくものだと私は考えています。
カラオケで歌が上手くなる3ステップ練習法について
さて、歌が上手くなるためにはどうすればいいのか。ここで出てくるのが、さきほど説明した3ステップ練習法です。この3ステップ練習法をさまざまな曲で繰り返すことが、歌が上手くなる最適な練習方法です。
先程の式に当てはめると、繰り返すが「練習にかけた時間」、3つのステップが「その練習法がどれだけ正しいか」に対応します。3つのステップは
- 曲を選ぶ
- 曲を聴く
- 曲を歌う
の3つです。それぞれ詳しく見ていきましょう。
ステップ1:歌が上手くなる分岐点。カラオケで練習する正しい曲を選ぼう
カラオケでこんな曲ばかり歌ってませんか?それが一番の落とし穴かもしれません
最初のステップは曲を選ぶことです。ここでいう曲を選ぶ、というのはカラオケでどの曲を歌うかではなく、どの曲で練習するか、です。以下の2曲を一度聴いてみてください。
さて、どちらの方がカラオケで歌ったときに「上手い!」と言われるでしょうか?答えは「名もなき詩」の方です。曲のペースが速く音程が複雑で、かつキーも高めのため、こちらの曲の方が上手いと言ってもらえるでしょう。
さて、突然ですがあなたは「名もなき詩」のような曲でカラオケを練習していませんか?確かにこういった曲は歌唱力が要求され、かつ聴いていてカッコいい曲です。つまり、好きになりやすい曲です。こんな風に歌いたい。歌いきってカッコいいと言われたい。いろいろな気持ちがあると思います。
ですが、歌唱力を上げるために「名もなき詩」のような曲を選ぶのはNGです。正直に言ってしまうと、こういった曲を選曲している限り、歌唱力の向上は難しいでしょう。
理由は、曲のレベルが高すぎるからです。考えてみてください。
今年高校受験をするのに、東京大学の過去問で勉強する人が居ますか?
今まで走ったことのない人に、高所での薄い酸素運動をさせますか?
これと同じです。歌唱力が足りないのに、高い歌唱力が要求される歌で練習しますか?答えは全てNOです。レベルがどれも高すぎて、練習にすらなりません。
練習で歌うべきは簡単な曲。こんな難しい曲は避けるようにしよう
今まで多くの人に歌が上手くなりたい!という相談を受けましたが、その多くの人は練習している曲のレベルが高すぎました。もっと簡単なレベルで練習をするべきなのです。最初に練習するべきは「世界に一つだけの花」の方です。
確かに音程は簡単ですし、キーも高くありません。さらに曲調はゆっくりです。けれど、それの一つでさえ完璧にできていますか?音程を完璧に合わせられますか?その高さのキーが完璧に出ますか?曲調にはついていけてますか?アクセントはつけられていますか?表現はどうでしょうか?
質問責めのようになってしまいましたが、「世界に一つだけの花」を満足に歌えないのに、「名もなき詩」で練習するのは無理だと感じませんか?
「名もなき詩」のような難しい曲は、レベルが上がった後にやれば良い曲です。最初は「世界に一つだけの花」のような簡単な曲で練習するようにしてください。練習におススメのアーティストや曲については、以下のような曲が例に上がります
Anniversary/Kinki kids
桜坂/福山雅治
以下の記事で紹介している曲も、おすすめ曲ばかりです。参考にしてみてください。
「カラオケで90点を取りたい!」こう思うことはありませんか?もしも友達と、あるいは会社の同僚や上司とカラオケに行ったときに採点で90点が取れれば驚かれることは間違いなしです。ひょっとしたら「歌が上手い!」という評価を周りからもらえる[…]
カラオケの採点で90点を取るときには歌唱力もそうですが、選曲も大切です。曲には90点が取りやすい曲と取りにくい曲があります。もし90点を取りにくい曲で歌っていれば……達成までの道のりは長くなるでしょう。多くの曲を知っていることは[…]
また、絶対に避けるべき曲は他にも多く存在します。以下のような曲には要注意です。これらはすべて、除外すべき曲です。もしもこういった曲がレパートリーに入っている場合は、練習曲から外すようにしてください。
- ラップが入っている曲(例:嵐のきっと大丈夫、KAT-TUNのReal Face)
- 男性と女性がデュエットで歌っている曲(例:globeのDEPARTURE、凛として時雨のDisco Flight)
- 速すぎる曲(例:Mr.childrenの名もなき詩、Nobody knows+のココロオドル)
- ボーカロイド曲(例: cosMo@暴走Pの初音ミクの消失)
ステップ2:カラオケで歌わなくても練習になる。相対音感を鍛える曲の聴き方
相対音感とは?あなたもこんな経験、一度はあるのではないでしょうか?
曲を選び終わったら、次はその曲を聴きます。仮にその曲を覚えていても、カラオケで何度も歌ったことがあっても、聴きます。聴くときは、口ずさむようにするのがポイントです。小声で構わないので、流れてくる曲に合わせて歌ってみましょう。
この方法を進めるのには理由があります。絶対音感というものを知っていますか?これは鍵盤のキーを押されたときに、そのキーが何なのかが分かる能力です。ラやシなど、的確に当ててくれます。
2つ同時に押そうが、3つ同時に押そうが絶対音感を持つ人にはそれが判断できます。ラとシの両方みたいな感じですね。これと同じような能力に相対音感というものがあります。相対音感も音が分かる能力ですが、少し仕組みが違います。
相対音感は元の音が頭の中にあって、それに合っているか、合っていないかが分かる能力です。あなたがカラオケに行ったときに、こんな経験はありませんか?
あなたが知っている曲を友人が入れました。友人はノリノリで歌っていますが、所々うろ覚えなところがあります。勢いで歌っていますが、曲の一部で原曲とズレているのが分かります。とはいえ指摘するほどでもないので黙って聞いているという経験です。
これはあなたの頭の中にある曲を基準として捉えていて、聴こえてくる友人の声が頭の中の音と同じか違うかでズレているかどうかを判断しています。
これを相対音感と言います。相対音感は元となる曲を知っていて成立するので、知らない曲では効果が発揮されません。知らない曲なのに、「あ、ここズレている」と思ったことはないでしょう。この相対音感を鍛えることが、曲を聴くというステップのねらいです。
音楽を聴く練習だけでなく、声にする練習をしましょう
あなたは、音楽を聴くということはやっているのだと思います。ですが、それを口に出していないのではありませんか?口ずさむという行為は、あなたの記憶の中にある音を、あなたの声で再生する練習です。
さきほども述べましたが、あなたは曲を聴く練習はしています。あとは、曲を声にする練習をすればよいのです。自分の中にある相対音感を鍛え、自分の記憶にある音と同じ音を発声する。
これがゴールです。曲をコピーして再生するとも言えます。アーティストの曲を自分の歌声でそのまま再生するのですから、上手いと言われるのは当たり前になります。
練習する際には、何曲か曲をピックアップして行うようにしましょう。10曲でもいいですし、20曲でも構いません。あなたの好きな曲数で大丈夫です。ただし、①の曲を選ぶで出てきた除外すべき曲は入れないようにしてください。
ステップ3:本番前のリハーサル。一人カラオケで歌って仕上げをしよう
目標は、一人カラオケで7時間歌い続けられること
最後のステップは曲を歌う事です。曲を口ずさむのも練習になりますが、実際にあなたが歌声を披露する場はカラオケです。そのカラオケでの練習なくして、本番での成功はありません。
練習用の曲を選び、練習用の曲を口ずさみながら聴いたら、一人カラオケに挑戦してみましょう。今ではカラオケの数も増えましたし、一人カラオケ専門店といったお店もできました。
行く時間帯は休日の昼間が良いでしょう。カラオケは夜は高くなるシステムを採用している店が多いです。練習時間に関しては、初めの内は少ないと思います。
喉がまだ強くなっていませんし、一人で歌い続けると2時間程度が限界になります。それも練習を繰り返すことで次第に歌える時間が伸びていきます。1週間に1回、休日のフリータイムに行って7時間くらい歌えるようになるのが目標ですね。
カラオケの採点ゲームで、音程80%後半を目指そう
実践してわかることですが、口ずさむこととカラオケで歌うことはまったく違います。音程は問題なく合わせられるでしょう。ですが肺活量や声の安定さなど、違ったものが求められます。マイクを使用するので、マイクを介した音の出し方も含めて、口ずさむのとは違うなと思う事でしょう。
カラオケで練習する際には採点を入れてみるのが効果的です。とくに最近の採点機能は高性能で、音程や表現力など、さまざまな面からあなたの歌声を採点してくれます。
一人での練習で歌が上手くなったかどうかを見極めやすいのは音程です。カラオケの採点には音程のバーが出てくるものがあり、音程がどれくらい合っているのかも出してくれます。
曲にもよりますが、80%後半がある程度出せるようになれば音程に関しては合格です。まずはこの値を目指して頑張ってみましょう。それ以外にも、声の安定や、しっかりと音を踏んでいること、アクセントの付け方など歌の上手さを決めるものは沢山あります。
そこに関してはあとで練習すればよいので、まずは音程を合わせられることを目標にしましょう。
カラオケで上手くなる3ステップ ~おわりに~
歌唱力を向上させるには、以下の3つのステップが重要です。
- 曲を選ぶ(練習に適した曲を選ぶ。練習の効果がここで決まる)
- 曲を聴く(相対音感を鍛える)
- 曲を歌う(本番に向けて、カラオケで練習する。リハーサルのようなもの)
それぞれ意味のある練習法であり、これを繰り返すことにより歌唱力がだんだんと向上します。練習するうちにレパートリーも増えると思われますので、カラオケで長時間歌う武器にもなるでしょう。
仮に1回の3ステップで10曲練習するとしても、それを3回繰り返せば30曲です。この練習をすればするほどレパートリーは広がっていきますので、一石二鳥と言えますね。